奈良先端科学技術大学院大学を受けてきた
手応えはよくなかった
先日,奈良先端科学技術大学院大学(以下,NAIST)情報科学研究科を受験をしてきました.手応え的におそらく落ちているでしょう.誰かの参考になればいいと思うので書き残しておきます.それだけが……私の願いです.
NAISTの試験は一般的な院試とは異なり,以下の二点が問われます.
- 事前に提出した研究計画書に基づくプレゼンおよび面接
- 数学の問題を教授の前で板書し解説.(事前に別室で10分間問題を解く機会を与えられる)
気をつけておけばなんとかなるだろう!というミスを結構やらかしたので紹介します.
勝負は戦う前に大方決まる─研究計画書
面接の前から試合は始まっています.そう,研究計画書です.これはA4版で2ページ以内で書く必要があります.もちろん2ページ埋めた方がいいに決まっています(説明会でも言われました).私は以下のミスをやらかしました.
- あからさまに分かる誤字脱字.
- 締め切りギリギリで語句の統一の訂正をした際に,全く入力した覚えのない文字列(「www」みたいなの)が混入.
- ひと目で分かるミスは,計画ができているできていない以前の問題.
- 具体的な計画性がない.
- 面接では研究計画書の内容を3分で説明する.どもった.
- 友達と2〜3回,頭の中と口の中で5〜6時間は面接練習をしましたが.本番どもりまくり.
- 質問に対する答えを明瞭に言えなかった.
教訓
- 研究計画書の第一版は遅くとも締め切り2週間前にはあげること.
- 人のチェックを受けましょう(私は受けたけど最後の最後でやらかした).できれば自分の大学の担当教授.無理なら先輩.同級生でも誤字脱字ぐらいはみてくれます.
- 「なぜその研究テーマをにやりたいか」だけではなく,どのようにアプローチして,どんな勝算があるのかを書けるといいですね.
- 具体的に,M1の何月に何をやっているか,M2の何月に何をやっているかと,時間の流れとやっていることを対応付けて想像できれば,かなりいいんじゃないでしょうか.
- Q.「どうやってそんなもん立てるんだ」 A.「とりあえず周りがどんなアプローチやってるか調べる」
- 私は興味のあるまわりの論文や学会誌の解説記事で勉強しました.論文は読みまくっていると誰がその分野のキーパーソンなのかわかってくるので,そうしたらその人周りを調べました.
- Q.「どうやってそんなもん立てるんだ」 A.「とりあえず周りがどんなアプローチやってるか調べる」
- 具体的に,M1の何月に何をやっているか,M2の何月に何をやっているかと,時間の流れとやっていることを対応付けて想像できれば,かなりいいんじゃないでしょうか.
- 面接練習は,友達に手伝ってもらおう.
- 「えー」「あー」「えっと」のような言い淀みは厳禁.事実はともかく「考えてきていない」ように聞こえてしまう.頼りなく感じる.まあ僕はやらかしましたけどね!!!
- 質問には簡潔に答えましょう.「Aはできますか?」という問に対して「BはCという原理で動いているので,もしDという手法で補助すればAは限定的に出来ます」という答え方はNGです.できるかできないか先に言って,詳しく説明しろと言われたら,また答えればよいと思います.僕はやらかしましたけどね!!!!
<悲劇パターン4: 質問にずれた答えをしてしまう>
教官「そのシステムではカルマン渦は計れるの?」
学生4「本システムでは、ラジアル方向の密度勾配を仮定しておりませんので、タイムインバリアントなニュートン流体に限っていえば、センサを配置することも可能です。圧縮性流体では…」
教官「YESかNOか!」
教訓: 質問の8割は、はい/いいえ式である。
対策:どんな質問でも、回答はまず5秒で収まる反応を言う。“はい”、“いいえ”、“実用上はYESです”、“理屈の上ではYESです”、“今回の研究では無視しています”、“正確な答えはちょっと長くなりますが・・・・”、“するどい質問です”などなど。その先は、質問者の顔を見ながら、対話する。顔を見ながらの対話は、質問者が求めている答えに導いてくれる。
やればできる卒論の書き方 第2部 研究と実験のやり方
面接で差がつくとは思えない?!
NAISTは面接が大きな配点を持っていると言われています.
面接では,バックグラウンドを考慮して質問をされるのですが,私が聞かれた質問はどれも基本的なことでした.
いったいどこで点数差がつくのだろうと考えると,「声が大きく出ているか」「質問をちゃんと理解して答えているか」といった,対人コミュニケーション能力なのかも,と思いました.
相手の顔を見て,分からなければ分からない,質問の意図が把握できなければもう一度言ってもらうぐらいでもいいのではないでしょうか.黙るのだけはやめましょう.どんな学生なら,指導したいと思うか考えてから臨むのがいいと思います.僕は(ry
受けた問題を紹介
試験問題は簡単だ
試験は3題のうち2題を選んで教授が見ている前で板書します.制限時間が10分なので,問題自体は極めてシンプルです.一見難しそうに見えても解法はシンプルです.多分.まあ僕1問も完答できなかったけどな!!!!!
会場外に出た瞬間解法が浮かぶような問題ばかり.
例えば……
- n個の箱がある.それぞれの箱には1〜nの番号がふられている.m個(m < n)のボールを無作為に箱に入れた時,2つ以上ボールが入っている箱が少なくとも1つある確率を求めよ.ただし,何度でも同じ箱にボールを入れて良い.
(注意:問題文はうろ覚えです.あと,答えはあっている保証をしません.間違ってたら教えて下さい.)
問題文から考えてどう見ても余事象.全ての箱が多くても1つだけボールをもっている確率を求めます.
まず,n通りの箱から1つ選ぶ作業をm回繰り返す全事象は以下のように考えてです.
次に,ボールは1つだけしか箱に入らない場合を考えます.次のような手順を想像します.
- n個の箱から1つ選んでボールを入れる.
- その箱にはもうボールを入れないので蓋をしてしまう.
- 余ったn-1個の箱から1つ選んでボールを入れる.
- 嫌だわ,はやく蓋をしないと
- 1から4をm回繰り返す
結局,m個のボールがバラけて入る場合の数は
よって,求める確率
僕はこれを以下のように間違えました
- 全事象通り
- そのうち,「n個の箱からm個の箱を選んで入れる場合の数」は通り
- だから求める確率
よくある間違いですね.全事象は箱を選ぶ順番区別して考えているのに,2番目の手順では箱を選ぶ順番(ボールが入る箱を選ぶ順番)を区別していない.箱入れる順番を区別するならば選んだm個の箱を一列に並べるのでm!通りがかかる().
こんなんで受かる訳ねえ!orz
(追記:2012-07-20)
奇跡的に受かってました.ビックリだよ!やったー!!!
NAIST 奈良先端科学技術大学院大学 - 合格発表