ヤクとアヒル

日常の問題を解決したときにつけるログ

Inbox by Google(β版)とMailboxとの使用感の比較(iPhone編)

The Inbox that works for you - YouTube

概要

2015-12-26更新:Mailboxは2016年3月をもってサービス終了になるため,今から使う人はInboxが事実上の選択肢です.

Inbox by Googleベータテストの招待が来たので, iPhoneでの使用感の違いをMailboxと比較しつつご紹介します.

想定読者

iPhoneでMailboxを使っていて,Inboxどうなのって気になっている人.
Mailbox自体の説明はしません.Inboxについてもすべての機能の説明はしません.

Inbox by Googleとは?

Googleの新しいメールサービス.とはいえアドレスはGmailのものをそのまま使います.
Gmailのインタフェースをより便利にしたものと捉えるのが良いかと思います.

詳しい機能は以下の記事などを参考にしてください.

Meet your new Inbox - YouTube

Mailboxと比較して

不便な点

  • MailboxのInboxのように複数アカウントのメールを一元的に処理できない.
  • 複数のアカウントを登録しておき,切り替えて使うことは可能.
  • スワイプ動作で一括でできるのは,後で通知(Snooze)とアーカイブのみ.
  • 削除や他フォルダへの移動はワンタッチではできない.
  • Gmailアカウントのみ利用可能
  • MailboxはiCloudメールも使える
  • Auto swipe(特定の相手からのメールを自動でアーカイブ)ができない
  • Gmail側でフィルタ作成すればいいけどちょっと面倒

優れている点

  • メールを自動的にグルーピングしてくれる.
  • カテゴリ別に一括で閲覧・処理できる*1
  • MailboxのList機能がほぼ同等だけど,自動ではない.
  • 位置によってメールを通知できる.
  • 職場についたら「資料を印刷」,駅についたら「郵便局に寄る」などメールやTodoを通知できる.
  • Highlights機能*2:重要な部分をひと目で分かるように表示してくれる
  • 例えば,Amazonの購入メールから何がいつ届くかをひと目で分かるように表示してくれる.ただしGoogle Nowの方が多機能*3

どちらとも言えない点

  • Snooze(MailboxにおけるLater)のデフォルト値が少ない.
  • 「今日の後で」「明日」「来週月曜」「いつか*7」以外は自分で指定する必要がある.よって,Mailboxのようにワンタッチで週末に通知するとかできない.
  • 自分で指定する際には,デフォルト値から選択できる(下図参照).
  • Desktopのアプリがない
  • Google Chromeのみで閲覧できるWebインタフェースは提供されている.通知センターへの表示がある分MacではMailboxの方が便利かな.InboxのDesktop通知機能は見つけられませんでした.

共通している点

  • Gmailで設定していれば,エイリアスが使える
  • aaa@gmail.comからのメールをbbb@gmail.comから送信したことにできる
  • 通知センターから直接アーカイブできる
  • Ver. 1.2.1からできるようになっていたことに気づいた(できるようになった正確なバージョンは不明)
  • Mailboxはversion 2.3.3(2014年11月10日)から対応.

なお,Snoozeなどの処理が異なるため,Mailboxとの同時運用は難しいです.

備考

  • Google Appsを利用したメールアドレスは使えなかった
  • これはGoogleのせいではなく,組織の管理者が対応するべき問題.InboxはGmailとは別サービス扱いなので,おそらく組織の管理者による許可が必要.

現状での問題点

バッジによる新規メールの通知が不安定

出る時と出ない時があります.

標準IMEによる日本語入力ができない(環境依存?)

標準のIMEによるインライン入力での日本語入力にバグがあります.2015年3月2日最新版のVer. 1.2.1でも改善していません.

  • 検索欄への入力がおかしくなる.例えば「さがわ」と打つと最終的に「ささかさがさがわ」と入力される*8. なお,ゆっくり入力すると回避できる.インクリメンタルサーチ中に入力すると不具合が再現?

サードパーティ製のIMEを使うことで回避できるようです.ATOK for iOSを使うことで正常に入力することができています.

使ってみた感想

全体の機能は良い

日本語入力に難あるところを除いて機能に絞って見ればかなりいい(まだベータ版なのに).アプリ単体で見れば,ほぼMailboxの上位互換.マテリアルデザインもスッキリした良い印象.
一方で,複数アカウントの一括処理ができない点はアカウントをプライベートと仕事で分けているとかなりつらい.通知センターを見ても,アカウント別に通知が分けられていないので,どのアカウントにメールが来たかはわからない.一括処理という点ではMailboxの方が便利だ.

一括処理ができるようになってほしいが,見せ方は一考の余地有り

Mailbox風にしてほしいけれど,アカウントごとにグルーピングの基準が異なるので,単純に一括にまとめることが便利かどうかは状況による.
やるとすると,例えば複数アカウントA,Bのupdateグループに分類されたメールを一つのupdateグループとして表示することになる.これは良い所もあれば悪いところもある.updateを一括してアーカイブしたいという時には便利だ.他方,アカウントAのupdateは一気に既読にしたいけど,アカウントBでは一つ一つ処理したいというようなニーズもあるだろう.
これを解決するためには,Mailboxのように,とりあえず複数アカウントの全てのメールを一括にまとめて出しておいて,アカウントごとに見たいようならば,別タブでアカウント個別にグルーピングをしたビューを出すという方法がある.

Googleがどういう改善をしていくのか,それとも複数アカウントの一括処理はしないのか注目したい.ここまで言っておいてなんだけど,Gmailアプリも一括処理していないし,Inboxもそうしない気がする.

そもそも一括処理自体が嫌いな人もいる

友達のT君はむしろアカウントごとに独立してくれたほうが気持ちの切り替えができるので良いと言う.本稿ではMailboxのように複数アカウントが一括処理できないことがInboxの欠点だと主張してきた.一方で,そもそも複数アカウントのメールを一括に処理できるようにすること自体がMailboxの欠点だと主張する人もいるということを付け加えておく.

参考:招待が届くまでの期間は約12日(自分の場合)

  • 2014年10月23日 13:44 申し込みメール1送信
  • 2014年10月23日 13:44 申し込みメール1に対する返答受信
  • 2014年10月23日 16:09 申し込みメール2送信
  • 2014年10月23日 16:09 申し込みメール2に対する返答受信
  • 2014年11月4日 6:28 メール2に対するinvitation受信
  • 2014年11月4日 6:29 メール1に対するinvitation受信

1週間ぐらいで届いている人もいるようなので,参考までに.

参考:解決済の問題点

標準IMEによる日本語入力ができない(環境依存?)

  • メール本文を打つとき,日本語が入力できない.

件名は普通に打てるが,宛先をいじるといった返信以外の操作が入る場合は入力ができません(メール本文入力の場合と同じになる).

なお,返信の際には簡易窓が出るのですが,そこでは標準IMEでの日本語入力が可能でした. サードパーティ製のIMEを使うことで回避できていました.ATOK for iOSを使うことで正常に入力することができました.

(追記:2014年11月29日)
日本語の不具合が無いという報告もありました.環境依存の可能性があります.

記事内で書かれている、日本語入力ができないという点は私の場合問題ありませんでした。
Googleの新メールサービス「Inbox by Gmail」はMailboxの上位互換? - AIUEO Lab2

蛇足:アーカイブした際の挙動

興味本位で調べた.実用上の意味はない.

done(アーカイブ)はGmailでのアーカイブと同じ

Mailboxでのアーカイブを,Inboxではdoneと呼びます.両方共Gmailでいうアーカイブ扱いのようなので,InboxでdoneするとMailboxでもアーカイブしたことになります.

アーカイブ時刻の取り扱いの差異

実験: Mailboxにおける外部でアーカイブされたメールの時刻の取扱

いまの時刻が3時だとする.
2時に来たメール,1時に来たメールを順にMailboxでアーカイブすると,最後にアーカイブした1時にきたメールが最後にスタックされる.では,先にInboxでアーカイブしておき,Mailboxで閲覧するどうなるか.2時にきたメールが最後にスタックされた.

推察

おそらく,Mailboxのアーカイブリストでは,Mailboxでアーカイブしたメールはアーカイブされた時刻を使い,外部でアーカイブされたメールはメールの到着時刻を使ってソートしている.

Inboxにおける外部でアーカイブされたメールの時刻の取り扱いを調べるために,上の実験と同様の手順をInboxで行った.結果として,メールの受信日に関係なく,最後にMailboxでアーカイブしたものが,Inboxで最後にスタックされた.おそらくInboxではアーカイブした時刻でソートされている.

更新履歴

  • 2014年11月6日 1:58 参考リンク追加
  • 2014年11月6日 19:52 Snoozeの「あとで」の挙動について脚注にて詳説.不便な点,共通点を追加
  • 2014年11月6日 20:38 「使ってみた感想」節を追加
  • 2014年11月8日 5:08 複数アカウントの利用に関して誤解を招く表現を訂正
  • 2014年11月10日 1:00 「使ってみた感想」を更新.バッジがないことを不便な点に追加.
  • 2014年11月10日 22:26 バッジが出ることを確認したので,不便な点から削除.「現状での問題点」に付記.
  • 2014年11月11日 22:57 「不便な点」にAutos wipeと通知センターからの処理を追加
  • 2014年11月12日 17:16 「優れている点」に過去のメールを検索できることを追加
  • 2014年11月25日 6:28 Ver. 1.0.3での改善点を追記
  • 2014年11月29日 4:23 日本語入力に不具合がないという事例を追記
  • 2014年12月18日 3:34 Ver. 1.1での状況を追記
  • 2015年3月4日 16:18 Ver. 1.2.1での状況を追記

*1:ソーシャル系なんかは目を通して一括アーカイブしたいことが多いんだけど,Mailboxだとカテゴリはないので「全部」一括処理しなければいけなかった.

*2:参考:Google Developers Blog: Make your emails stand out in Inbox

*3:Google nowはワンタップで運送会社のページから荷物の問合せをしてくれるが,Inboxは配達予定日が表示されるだけ.

*4:個人的にはタスクはRemember the milkを使っているので利用する機会なし

*5:参考までに自分の場合11/12に「Amazon.co.jp」で検索すると,2/13の購入履歴までひっかかった.2/10にもAmazonからメールが来ていたけど,それは出なかった.

*6: ver. 1.5.0から対応してる.公式ソース:Announcing Cloud Search, account-specific signatures and more

*7:いつ通知してよいかわからないけどあとで通知するべきメールを後で判断するために保留するためのオプション.指定されたメールはSnoozeリストから見ることができ,そこで再度,通知時刻を設定できる.
参考:Snooze emails & reminders until later - Inbox by Gmail Help

*8:前に入力した文字が毎度入力されるような挙動です."打った文字"「入力された文字」とすると,"さ"「さ」→"か"「さか」→"濁点"「さが」→"わ"「さがわ」.

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