理工系新入生のための5月病予防策:独習のための書籍紹介
大学に入ったら何をする?やりたいことはたくさんあるでしょう。それをやってください。独学するのに資料が分からないのならばこのエントリが参考になるかもしれません。まあ、私も今見たんですけど!かなり幅広く書かれています。興味の無いところはすっとばして興味のあるとこだけ読んでください。
独学者のための文献リスト 読書猿Classic: between / beyond readers
とにかく言いたいことは一つ。最速のスタートダッシュを! そしてゆっくりでもいいから走り続けてください。
以下、理工系の教材に興味がある人以外は見ても得になりません。
ネットを活用して勉強する
日本の教科書は講義を前提に作られているので欧米のものにくらべて安くて薄い。でもひとりでやるのには難しいものが多い*1。しかし、いざ勉強するとなると、勉強はひとり*2でやるものであると気づき、先の「独学者のための文献リスト」にあるような本が数学でも欲しい。ウェブサイトは経済的にお手軽なので紹介する。市販教材は次の項を参照のこと。
数学
心構えと勉強法が書いてある。勉強する理由は人それぞれだけれども、数学者の話を聞いておくのも悪くない。利用できるものは全て利用するべき。モチベーションは勉強するのに多分一番大事です。
……学校で習った数学を復習する場合は、学校で習ったと きの教科書を勉強し直すのがよいと思いますが、難しい場合は市販の参考書やこのホー ムページにある基礎数学ワークブックを参考にされるのも良いと思います。
移転しました
……
2.問題を解く方法
最も有効な方法は紙に書くことです。これは小学生が算数を勉強する場合でも、数学 者が難しい問題を考える場合でも同じです。問題がわからなければ、問題を100回紙に写す。それでもわから なければ1000回紙に写す。そうすることで問題の情報が脳にきざみこまれます。問題が解けるときは、脳に 記憶された数字・数式などの情報の間に「問題を解く関係(式)」がわかったときです。
(URL先「数学について」より)
先の文献リストエントリが掲載されているblogで紹介されていたサイトにここがあった。
みっちり基礎を叩き込むためのワークブック。理論がわかっても使えなきゃ意味がない。使えても理論(やってること)がわかんなきゃ意味がない。僕はまず使ってみることを勧める。
追記(1/20 24:00ごろ):
(過去の資料にある)線型代数のテキストは、一応対角化まで説明されているのだけれど、核(kernel)や像(Image)の話がされてなかったり(詳しく確認したらあるかも?)、直交基底の話のところにGram-Schmidtの正規直交化法がでてこなかったりする。ということで、レベルとしては、次の項で説明するところでいうところの最低レベル未満。ただ、その分通常の教材ではさっさとすすめるところをかなりくどくかいてるので、分からない人はここからはじめるのもいいだろう。
これは、主として物理学(とそれに関連する分野)を学ぶ方を対象にした、大学レベルの数学の入門的な教科書である。高校数学の知識を前提にして、大学生が学ぶべき数学をじっくりと解説する。……
Hal Tasaki's Home Page in Japanese
現段階では
• 関数や収束についての基本(2 章)
• 一変数関数の微分とその応用(3 章)
• 座標、ベクトル、線形代数(5 章、6 章)
……
の各テーマについては、ほぼ完成しており、市販されている(優れた1)教科書に匹敵する品質になっていると考えている。
……
本書を執筆するにあたっては、ともかく、初心者がじっくりと読めば確実に理解できるように、丁寧にしっかりと説明することを心がけた2。講義で取り上げる暇はないし、通常の本にも載っていないが、まじめに考える人は気にするような細かいことがらについてもきちんと書く3ことにした。……物理の学生のための本の中には数学的な厳密さを意識していないものも少なからずあるようだが、本書では数学的な論理を気にする人も満足できるように厳密な証明にもページを割いた4。
(URL先「数学 — 物理を学び楽しむために—暫定版(2009 年9 月)」より)
田崎先生(学習院大学物理学科)のHPにある物理数学の教材(「数学講義ノート」という項目から飛べる)。随時更新されているのでたまに覗くと吉。まえがきにあるように、物理学科じゃなくても普通に使えます。2,3章が教養での微積分に対応(私が受けてる授業はこの範囲を出てませんが、より高い偏差値の大学だとほかもやるかも。しかし、この範囲以上のことををやる頃までにここまでの内容をマスターできていたら、自分がどの程度まで勉強すればよく、どの教材を使おうかある程度判断できるようになっていると思うので、問題なし)。ただし(まだ)多重積分の章がない。市販本と違って紙面の制約が無いのが最大の強みでしょう。詳しくは当該pdfファイルのまえがきと1章を参照してほしい。
東大の演習ページ?私が通っているレベルの大学だと殆ど掘り下げて解説してくれないし、本もものによっては言葉足らずなので、このような筆舌を尽くしてくれている資料は大変貴重。ありがたく使わせてもらおう。範囲的にはどの大学もこれぐらいはやるはず。一つひとつの掘り下げが東大ほど深くないだけで。知っていて損があるわけではないので、どうせだから全部やっちゃえ。時間は遊ぶ時間を削れw
こんな本いいんじゃない? - 個人的な体験から
重要な注意 ここから先は私の独断と偏見で参考書を推薦しています。なので、実害があると思います。私の通う私大の偏差値は50前後で、そこでの出来は学科ではそこそこ(上位2割には入るぐらい)ですが、一浪なので劣等生といわれても仕方ないです。線型代数も微積分もまだまだわかりません。ヘタしなくてもそこらへんの高校生の方ができます。だから、この情報を聞いてもういいやと思った人は読まない方がよいです。自分を信じてください。
一応、定評があるもので、少しは(通読はできていない、だから感触程度)目を通したものに限って紹介しています。
以下で使う、用語の説明をしておきます。
初歩/基礎/標準/中・上級 と便宜的に区切りました。基準は私の学力です(偏差値50程度の私大工学部)。
- 初歩:どの大学でも、これをやるだけじゃダメなレベル(うちなら辛うじて単位は出る)。高校の勉強も不得意で授業もさっぱり分からない人向け。地固め。
- 基礎:標準よりやや低め。私にとってちょうどいいレベル。
- 標準:あなた(大半の人)が大学で買わされる教科書のレベル。
- 中・上級:私には難しくて使いこなせないレベル。
注意
基礎の中には到達点は標準のと変わらないものもあるし、もっと上につれていってくれるのもある(かもしれない)。そこらへんは曖昧です。だから、初歩と中・上級の判断はある程度信頼してもらって構わないと自負していますが、基礎と標準の境は無視していいかもしれません。
個人的に、大学に入ったならば、標準までは最低限やるべきかと思います。つまり、通常、初学年の授業レベルのことは一通りマスターするべきです(うろ覚えでなくて、しっかりと)。これは結構大変なことです。私と同レベルの人がはじめに手を出すならコレがいいと思うものには◎マークを、世間的評価が定まっていないか不明のものには☆マークをつけました。☆マークは私だけがいいと言っている本かもしれない、という判断に役立ちます。
また、以下ではある程度以上有名な本はあまり載っていません。そういう息の長い本は、当然、教授を含むかなり出来る人に支持されるわけですが、厳密度などからいっても総じてレベルが高いものが多く、私の学力ではつかいこなせません。それに、そういう本はいくらでも他で紹介されるわけで、分かっていないヤツがわざわざ書くのも無駄ですから。
余談ですが、私が欲しいと思う理想の教科書は、自習だけでじっくりなっとくして理解できる程度に解答と記述が丁寧という一点につきます。それさえあれば授業を受けなくても良いようなの。値段や厚さは大きくなってもいい。
最後にひとつ。買う際には出来る限り一読してください。
微分積分
初歩
石村園子さんの著書が計算しながら理論をなめるという形で定評がある。似たような本はマセマや講談社が出しているから、好きな本をやるとよい。しかし、このレベルの本は結局は一時しのぎで、「じゃあアレはどうなの?」という疑問には答えてくれない。そういう目的の本ではなく、とにかく計算ができるというのが目的のように見える。それも大切だ。
参考書の店に行くと、よく目に付くのがこれらのシリーズ。買うならどれか一冊でいい。
「やさしく学べる」シリーズなど。
「絶対わかる」「単位がとれる」シリーズなど。「なっとくする」シリーズは比較的難しいのがある印象。
受験参考書でもおなじみ。計算過程がかなりくどくて(褒め言葉)、その点に関してはスゴイと思う。蛇足だが、内容はともかく装丁で損してるんじゃねーかと思わざるをえない。書店に並んでいるとき、独特の異様さがある。
基礎
- 松坂和夫:解析入門 ◎
シリーズもので、1,2 巻でここで言う微積が解説されている。 4 巻では微積と線型が融合されているらしい( 4 巻は目を通してない)。
1 巻を少しやった感触だと、かなり丁寧で、これより丁寧な本はあまりないのではないかと思った。「基礎〜」と書いてあるけど標準レベルまでは最低カバーしている(もしかしたらもうちょい上までカバーしてるのかも)。全く分からない人でもあまりつまらずにちゃんと上がっていける(気がする)。難点はその分ページ数が多いことと、2巻が絶版していること。
解析入門〈1〉数/数列と級数/関数の極限と連続性/微分法/各種の初等関数
- 作者: 松坂和夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/10/09
- メディア: 単行本
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- 梶原壌二:「独修微分積分学」
院試や公務員試験の問題などが大量に収録されている。章立てごとにまとめがあって問題集として使い易い。他の本とくらべて明らかに問題演習重視。
標準
私がメインでつかっているのはこれ(薩摩さんが好きなだけじゃねーか)。工学部向け。つーか非理学部向け。数学を使う人の立場で書かれている。
解答がやや不親切(1章の章末問題に、2章の知識を使わないとその形に変形出来ないものが含まれたり、1章の[7]の有名問題は、この回答だけで理解出来ず、松坂を読んでやっと理解した)。というか標準はこんなもんなのだ。だから、僕には全部不親切に見えるw
解答が不親切だと思うのは、受験参考書は言葉を尽くして書いてくれていたから、それがスタンダードになってしまっていて、これらの参考書が不親切に見えるのだ。自分で問題を考えないといけないから、解答は不親切でよいのだという考え方もある。しかし僕はやはり解答はきちっとわかるように書いてもらいたいと思っている。
- 斎藤正彦:「微分積分学」 ◎
記述は丁寧だし解答も丁寧。ちょっと重いけどがっちりしてていい。テスト前にすぐできるという本ではない。もっと手っ取り早くやりたいなら薩摩を。
- 作者: 齋藤正彦
- 出版社/メーカー: 東京図書
- 発売日: 2006/07
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中・上級
……本書では,数学科以外で,かつ物理も計算も強くないという学生をも視野に入れて,理論に重点を置きながら,それでいて親しみやすい微積の講義に使えるような構成を考えた.本書では力学に関連した説明は最小限に止め,その代わりに理解を助けるための手段として計算機との関連に丁寧な説明を与えた.……
(「はしがき」 より)
お茶の水女子大の情報科学科での講義が元になっている。まえがき、副題に「理論を中心に」とあるとおり理論中心らしい。
はじめに手を出してすぐなげてしまった(わからないところがあると飛ばせなくて投げるし、解答が簡潔だとすぐつまるので、結果としてすぐ投げる)のでこの本の良さがわからなかったのだけど、今見たら話も面白いし、2 冊目にやるにはちょうどよさそう。付録でpascalによるプログラムがついてる。サポートページにおいてある(株式会社サイエンス社 株式会社新世社 株式会社数理工学社)。
- 高木貞治:「解析概論(改訂第三版)」
定評がありすぎる本。曖昧な点、わからないことを調べるのに便利。メインで据えてやっていないのでわからないけど最初に手を出したくないなと思う。表現が分かりにくいことは無いようにみえるけど、内容が豊富だし、かなり腰をすえないとモノにできなさそう。
副読本
学習院物理科初年度の数理解析という講義が元になっている。
微積分の使い方の説明。授業では物理志向の問題が豊富であったのに、ある事情でこの本に入れられなかったのが残念だという旨がまえがきにある。僕も残念だ。タイトルに興味がある人はどうぞ。すごくやさしいというわけではありませんが丁寧です。
著者曰く「微積分の基本定理を理解したいか,する必要のある読者」向け。だいぶ丁寧に解説してある。演習問題はついていない。
- 山根英司:「実例で学ぶ微積分知恵袋」 ◎☆
初年度向け。厳密な証明がついてないので注意。やさしめの実例を通じて概念の説明に終始する本。理念はまえがきを読んでもらえれば分かるだろう。
……定理の価値は,多くの興味深い例を統一的かつ明快に説明できるところにある.……証明を読めば定理を理解するのに役立つだろうか?私はそれは定理によって違うと思っている.ある定理においては,証明を読めば定理が何をいっているか分かる.この場合,定理だけを読むよりも証明と合わせて読む方が,定理そのもよく理解でき,覚えやすくなる.たとえば,……三角関数のいろいろな公式……しかし,また別の例においては,証明は技術的すぎて,せっかく読んでも定理が「腑に落ちる」ことがない.たとえばテイラーの定理……言い換えれば,読み手を説得する証明と言い負かす証明があるのだと思う。……
(「まえがき」より)
証明を読めば定理が何を言っているか分かるものは積極的に載せて、言い負かすタイプの問題には形式的な計算と直感的説明が載せてある。なるほど、という点がいくつもある。はじめの一冊にオススメ。
- 作者: 山根英司
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2009/06
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線型代数
こちらのサイトが非常に参考になる。
持ってるけどやってない本のうちに、工学部向けの G.Strang:「線形代数とその応用」などがあるが、こちらではかなり詳しく(内容を理解している人しか書けないような踏み込んだ書評)がされており、わかりやすい。私のはどう見ても初学者が書いた「かんそうぶん *3」である。
基礎
- 薩摩順吉,四ツ谷晶二:「キーポイント線形代数」 ◎
はじめの一冊に。いくつか誤植発見しました。今度書くかも。私まだこれやってる最中ですよ。わからないところが数カ所あったけれど、ほかと比べてわかりやすい(わかった気になっているだけともいう)。キーポイントの他のと同様に実例から入ってるから。
ガウスの消去法を前面に押し出している。もうちょっと程度が高くなるとサラッと進んでしまうところも、「こういう理由で、この定義は自然にこうなるべきだろjk」という考え方がトレースできるような構成になっていて、理解/再現しやすい。
- 作者: 薩摩順吉,四ツ谷晶二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1992/10/22
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標準
受験参考書(「本質の研究」)でお世話になったし、わかりやすかったのでこっちも目を通そうと買ったがまだほぼ未読。レベルは低くない。
東北大の理系1〜2年を想定されてかかれたテキスト。
高校からの接続を意識していて使いやすい。腰をすえてやるのにピッタリっぽい。ところどころに線型代数を学ぶと、どのようなことにつながるのかということや、その分野での推薦本とその説明(数行)という形で道案内が仕掛けてあってそれがすごく気に入っている。また、最後の章に「展望・量子力学入門」とあることからも姿勢が見て取れるが、随所に物理との融合が図られている。
「0章 ことはじめ」で線型代数について10ページ程度の概説があり、1章は、 2×2 行列の復習からはじまる。第一部の入門編が高校の復習〜大学の予習で、これが約70ページある。
こちらのサイトも(の方が!)参考になる。
- 作者: 長谷川浩司
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2015/03/11
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力学
基礎
- 吉田春夫:「キーポイント力学」 ◎☆
……万有引力のもとで惑星が円軌道を描くのは何となく納得しうる.遠心力が万有引力とつり合えばいいからだ.しかし,なぜ楕円軌道が許されるのか? これは十分に神秘的であり,決して自明なことではない.
大学初年級の力学の学習で学ぶべきことは,ニュートンの運動の法則を与えられたときに,どのような運動が実現されるのかを知ることである.この過程は非常に数学的である.数学そのものと言ってもよいかもしれない.実際,この運動を求めたいという欲求が微分積分に始まる解析学を育んできたというのが歴史的順序である.……本書では学習の暫定的な目標を
惑星はなぜ楕円軌道を描くか
を理解することに置きストーリーを構成した.
……筆者が力学を専門にしている……「専門家」としての意地から,「ナントカを学ぶために力学を学ぶ必要がある」という態度はとらない.力学の学習の真の目的はその中に見つけられるべきものであると考える.力学は面白いのである.……
(「まえがき」より)
著者は力学の専門家(!)。力学に専門家っているんだと勝手に驚いていた。古本屋で買ったら前の所持者(?)のプリクラが貼ってあった。あんまり使い込まなかったのか本は綺麗だった。悲しいね。
積極的に数学を使っているけれど(というか、大学レベルの物理は、数学をガンガン使えないと困る。それで困った人が読む本なのだ)、ちゃんと 1 からやってくれているから、ついていけないということはない*4。三年時で習う数学の微積分をあんまりにもやらなかった人だとついていけないかもしれないけど、そういう人はまず3Cの復習からはじめないといけない。一対一対応シリーズとか本質の研究とかオススメ。
- 作者: 吉田春夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1996/01/25
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標準
- 山本義隆:「新・物理入門」
受験参考書だけどレポートで使えた。持ってない人がわざわざ無理に買う必要はないと思う。余談だが、最近発売された講談社基礎物理学シリーズの電磁気には、「高校物理がよくわかない人はこれを読め」という旨の文章があった。実は慣性モーメントとか偶力とかそういう話も載っててびびる。
これだけちょっと毛色が違うので分類は気にしないでください。版元のサイトにまえがきが載っている(数学書房 新刊情報詳細)。著者が言うにはできる高校生〜学部一年向け。この本はとても面白いし、頭をつかえばしっかり追えるようにできている。まとまった時間をとらないので、まだ通読出来ていない。
専門家?の人の書評などもあった(physicomath: 山本義隆著「力学と微分方程式」)。参考にされたい。
- 作者: 山本義隆,桂利行,栗原将人,堤誉志雄,深谷賢治
- 出版社/メーカー: 数学書房
- 発売日: 2009/08
- メディア: 単行本
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一度でいいから目を通して欲しい。
- 江沢洋:「力学 高校生・大学生のために」 ◎
「よくできる」高校生と大学生のためにと言った方がいいw記述は丁寧でトピックも豊富でおもしろいんだけど、物理をはじめたばかりの高校生がいきなり読めるかといわれると結構がんばらないと難しいと思う。でも面白いよ。これも一度でいいから目を通して欲しい。
- 作者: 江沢洋
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2005/02
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- 坂間勇:「現代の物理学-力学編-」
受験参考書。わかんなくなるとちょいちょい読んだりする。メインで進めてないからあれだけど、独特の語り口で、わかりやすいところはすごくわかりやすい。剛体の回転運動も、並進・回転座標系の話も載ってるし、なんなんだ。
- 戸田盛和:「力学」
明大の数学科とか東工の情報の友達が使ったとか。僕は古本屋で買った。内容は普通にトレースできるんだけど、問題が答えを見てもよくわからないところがあって困る。戸田か江沢かといわれたら江沢を推す。
- Halliday,Resnick,Walker:「物理学の基礎 力学」 ◎
まえがきによると、神戸大の物理学科意外の学科で使っているらしい。今はどうか。
高校生にも読める。むしろ高校の教科書にしたい。3Cの知識が少し必要だけど、殆ど使わないから軽い説明で補えるんじゃないだろうか。物理を言葉で説明していて、ところどころにチェックポイントがあって確かめながら進むことができてこれは嬉しい。
ただ、減衰振動の微分方程式に対して、方程式を解かずにいきなりその解が与えられたりされて困惑する。アメリカの学部一年用の教科書だというから、数学のレべルはそんなものなのかもしれない。物理が苦手な人のはじめの1冊にはいい選択だと思う。言葉で説明されるのはタメになるし、理解が早い(と思う)。
- 作者: D.ハリディ,J.ウォーカー,R.レスニック,David Halliday,Jearl Walker,Robert Resnick,野崎光昭
- 出版社/メーカー: 培風館
- 発売日: 2002/11
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工業力学
基礎
- 大熊政明:「新・工業力学」 ☆
なんだ工業力学とかただの高校物理じゃん。と思っていたらだんだん違うことがでてきておかしいゾ、となったときには後の祭り。俺状態!早速図書館にある工業力学の殆ど全ての本を漁った結果、どれもこれも解答が言うほど(丁寧な解説をつけたと言っているのに!)丁寧じゃない。そこに絞って検討した結果これが一番だということに。twitterでも勧めてもらったよ。
出版社のサイトに章末問題の解答が掲載されているので(本文には掲載されていない)、買うときの参考にしてほしい。
株式会社サイエンス社 株式会社新世社 株式会社数理工学社
- 作者: 大熊政明
- 出版社/メーカー: 数理工学社
- 発売日: 2005/07
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確率・統計
基礎
- 和達三樹,十河清:「キーポイント確率統計」
大学の指定教材だった「ゼロから学ぶシリーズ」が、微積を使わない分むしろなにをいっているのかがよくわからなかったため、自主的に買った。絶対こっちのほうがわかりやすいと思う。例題を通して学ぶ形式。キーポイントシリーズは実例を多くあげているので手を動かしながら考えることができてわかりやすい。
- 作者: 和達三樹,十河清
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1993/02/22
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中・上級
- 小針晛宏:「確率・統計入門」
入門書としては微妙という話も聞くがこの本はとにかくおもしろい。数学書らしからぬ書き口だし、問題も楽しいものが多い。例えば
10. K先生は大へん休講が好きで,1回講義をすると次の講義を休講にする確率は0.5であり,1度休講すると,さすがに気が引けるのか,その次の週が休講になる確率は0.2であるという.長い間には彼はどれくらい休講するであろうか.ただし,<<長い間に>>とは,第n回目が休講である確率をとするとき,その平均
のことである.
(p.28より)
といった具合。
小針さんは「数学I・II・III…∞―高校からの数学入門 」という本も出していて、これは受験参考書っぽくみせかけているがまえがきに
……ぜんぜんタヨリにならない参考書,にしようと思います.だいいち,タヨリにしようとか,オレについて来い! 式のムードは,前近代的で,非知性的で,自主性の尊重と反対では,ないでしょうか.ぼくはきみたちを,そんなうすよごれた,若いくせに批判精神を失った,人たちとは,思いたくありません.……
などと書いてある。ナンカ全共闘の空気を匂わせる感じの本なのだ!
あとがきの方がもっと面白くて、著者は高校からの数学入門と題するこの本を執筆するにあたり、数学の未開の地に入ってしまったらしい(今はどうなのだろう)、それを消し去って書きなおそうとおもったが、しかし教員が間違わないという権威・教条主義に対向するために敢えて載せる、というようなことを書いている。肝心の本は中身は姉と弟の会話形式で出来ていたり、微分方程式がでていたり、今の超高校級の本なのだ。おもしろいのだ。で、これでファンになってしまったわけだから確率・統計はもちろん小針さんのでやろうと想っていたがまあできない。ということで入門書に戻ったわけだ。著者は故人なのでいつ絶版になるか不安。
- 作者: 小針アキ宏
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1973/05/31
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- 作者: 小針アキ宏
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 1996/06
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微分幾何
標準
下は、明大数学科の友人が授業で使ってるらしい。この著者も上記、小林の本で勉強したとか。この本では読むべき本として小林が挙げられている。両方共熱心にやっていないので内容については言えないけれど、梅原,山田→小林とシフトする方がいいような気がする。僕は独習に詰まってしまったあと、
基礎
- 中内伸光:「じっくり学ぶ曲線と曲面―微分幾何学初歩」 ◎
に移行していまももっぱらこっちをやっています。これは完全に自習を意図してつくられているので授業を受けなくても読めます。猛烈に寒いギャグが随所にありますが僕は好きですよ。
この本の恐ろしいところは、微積分の計算過程もちょっと複雑なのはいちいち丁寧にかいてあるところで、かなり稀有だと思います。なかなかこういう本はありません。僕は手にとったときすごく嬉しかった。その分分厚いのですが、やる気があれば是非覗いてみて欲しいです。
- 作者: 中内伸光
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2005/09/15
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