佐藤好彦『デザインの教室』第1章 自分用まとめ
デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング(CDROM付)
- 作者: 佐藤好彦
- 出版社/メーカー: MdN
- 発売日: 2008/04/28
- メディア: 大型本
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(Web)デザインの勉強を昨日から始めました.以下のように思ったことが理由です(優先度順).
勉強の一歩目として,佐藤『デザインの教室』を読みはじめました.
本書はグラフィックデザインのワークブックですが,一章ではデザインとはなにかということを説明しています.自分用の勉強記録として箇条書きで内容をまとめていたので,公開します.
自分用まとめなので,私なりの解釈や本書の説明を捨象した部分があります.また,おそらく誤解があります.
本書は図版を用いて以下の事項を説明しているので,まとめを見て気になったら実際に手にとってみてください.より理解できると思います.また,繰り返しますが本書はワークブックです.実際にやることが重要です.
なお箇条書きに独自のマークが出てきますが,以下の様な意味です.
- [!] おそらくこういうことが言いたいんだろうという僕なりのまとめです.
- [?] 本書を読んでいて感じた疑問です.
- はじめに
- 1章 視覚的な表現における構成
はじめに
- グラフィックデザインとは,情報を伝えるためのデザイン
1章 視覚的な表現における構成
デザインの根拠
デザインに根拠はあるか
- 根拠(正しいデザインと言える理由)は決まっていない
- 自分で根拠をつくる
- [!] ここでいう「根拠」は後述の「規則」に換言されている.中盤で説明のある「内的必然性」を考えながらデザインを構築することで「規則」を作る.
デザインの中の特徴的な場所
- デザインは意図を伝えることが重要.わかりやすさが重視される.
- 特徴的な場所;言葉で表現できる場所
- ○ 視覚的に見た内容を簡単に言葉に変換できる(イメージしやすい)場所
- 左端,中央,右端
- [!] 見た人がデザインを言語化できるか.人間は言語で考える.
- × イメージしづらい(意図が伝わりにくい)場所
- 例:左から3cm
- ○ 視覚的に見た内容を簡単に言葉に変換できる(イメージしやすい)場所
デザインの意図を言葉で表現してみる
- デザインは言葉では表現できないことを表現する手段でもある
- (しかし)デザインの意図を言葉で表現することは重要
- デザインの意図が見る人に伝わるか確認する
- 自分の製作時の考え方を確認する
- 転用可能なデザインのデザインパターンを獲得できる
配置されたもの同士の関係性をつないでいく
- ものを配置すると特徴的な(イメージしやすい)場所が増える
- 新しいものを配置するとすでに配置されたものへ配置的な影響を与える
例:ペンを置く
- ペンを置く
- 次に鉛筆を置く
- 全体的なバランスが変わる
- 鉛筆の位置を変えよう
それぞれの位置がお互いの配置の根拠となる
- 配置から製作者の意図が伝わる
- 理由:「規則」に従って計画的に配置されたと感じる
- 「規則」ははじめからあったわけではない.配置するごとに関係性が変化することで決まっていった
- 先に配置したものや後から配置されたものによって,それぞれのものの位置が決められる
- 見る人に配置の意図が伝わるようにすること!
- [!] 最終的なアウトプットに,規則が見えるようにする
グラフィックデザインにとって論理とはなにか
内的必然性がデザインを形作る
- 内的必然性とは;オブジェクトの配置が相互に相手の配置を規定し,必然的な表現であるかのように見えること
- 抽象絵画では見たものをかかないので,(それまで支配的な見方だった)本物らしさという評価軸で評価できない
- この評価軸だと「絵の具のシミ」に見える
- どうすれば絵の具のシミではなく「絵画」であると言えるのか?
- 内的必然性を論拠にした
- それぞれの要素がお互いに関連しあって一つの世界と感じられること
- 内的必然性を論拠にした
「デザイン」と呼べるものにするために
- デザインが抱える問題も抽象絵画が抱える問題と似ている
- デザインが抱える問題;どんなレイアウトも許されるが,デザインされていると感じるものとそうでないものが存在する
説明できるデザイン
- デザインの世界でも内的必然性は重要
- これがないとデザインとは言えない
- 内的必然性があるデザインは論理的に説明できる(はず)
- 内的必然性は世界を構成するもの同士のみの関係
- 外部のものとは関係ない!
- ビジネス的ニーズ(価格のやすさを強調したい)
- 社会的イメージ(平和は鳩,緑はエコ)
- ビジュアルとは関係のない,物語をはりつける例
- ウサギの写真は優しいという
- モナリザの背景はナゾのメッセージだという主張をする
- まずデザイン内部(内的必然性)を学ぼう
- これはデザイナー自身の問題
- 外部のものとは関係ない!
デザイナーが提供すべきこと
- 社会がデザイナーに要求することはデザインと呼べるものを提供すること
- デザインと呼べるものを形作るうえで内的必然性は不可欠
- 理由:一つの世界を矛盾なく,美しく構成するために必要
- 内的必然性を感じさせる構成力はデザイナーであるための必要最低限
- デザインの内部について言葉で表現できることが重要
- どのような内的必然性でデザインを作っているのかを言葉で表現する
- [!] 内的必然性こそグラフィックデザインにおける論理
- 外的な要因についてを言葉で表現することが重要なわけではない
- [?] 外的な要因をきちんと認識して取り込むことが必要では?
- 一番時間を割くのはクライアントの意図を理解し,それを適切にデザインに落としこむことでは?
- [?] 外的な要因をきちんと認識して取り込むことが必要では?
そろえることの重要性
揃えることで,関連性が暗示される
- 人は複数のものが配置されているときに関連性を探す
- 揃えることは最もわかりやすい関連性
- 表現上の法則を自分で決め,全ての部分に対して適用することで一つの世界としてのまとまりが生まれる
- 美しいデザインは法則の作り方にポイントが有る場合が多い
揃えるを計画的に創りだす
- 計画的に揃えるために,補助線を引いて論理構築を助ける
補助線を引いて,デザインの可能性を示す
- ものを配置するたびに補助線が増える
- 補助線にそって配置していく
デザインの問題を整理するための手段としての補助線
- 全部に補助線を引くことはないけど,補助線を引くことで頭のなかが整理されることがある
揃えることのシステム化 グリッドシステム
- あらかじめグリッドを引くと簡単に配置できる
- バリエーションを作るのも簡単
- 他ページのデザインで単調にならず,かつ統一感を出すことができる
- 個別のデザインに先立って法則を先に入れてしまう
全体と細部が矛盾なく調和する
- 補助線 v.s. グリッドシステム
- 細部から全体を組み立てる v.s. 全体から細部を作りこむ
- バランスが大事
繰り返しが法則を強調する
3回をこえると,繰り返しを認識しやすくなる
- 繰り返すことで法則を認識しやすくなる
- くどくならないように
繰り返しを美しく見せる
- 繰り返しの中で強弱のバランス,アクセントをつけて美しくする
ページの分割と対比
異なる要素の対比が,デザインをわかりやすく魅力的にする
- グラフィックデザインで扱うページは複数の要素が混在する
- 複数の要素を整理するときには,違いを明確に見せることが重要
- [!] 読者は何かを求めてページを見る.その動線をつくる
- 対比をつくってメリハリをだす
- 白い背景と黒い背景
- ビジュアルと文章
- 疎と密
ページを分割し,役割を割り当てる
- ページを分割して対比する
- デザインで求められていることの整理→機能抽出→分割されたページへ機能を割り当てる
- 見栄えではなく機能と考える
- ページのこの部分に,この役割を割り当てる
- 例:ノンブルはナビゲーション機能
- 本を持った時の親指あたりにナビを割り当てようと考えることができる
- 機能的なデザイン
- 内的必然性(視覚的表現)だけじゃない
余白が意味を持つために
静かな場所を作る
- スペースは有限.強調することには限界がある
- 逆に,周囲に余白をつくることで強調することもできる
- うまく作られた余白は緊張感をもつ
余白でなにを生かすのか
- 余白自体には意味は無い
- 余白によってなにを生かすのか,によって余白に存在意義ができる
- 目立つ/目立たないは相対的なもの
- 優先順位を決めて構成するとバランスがとれる
デザインする力
黄金比は美しいか
- 普遍的に美しいかどうかはわからない
- 18世紀に不協和音とされていた音が20世紀に和音とされることもある
- 美しいかどうかは自分自身の美意識で判断する
- 鵜呑みにしない.もちろん本書も
自分にとっての解答は,自分自身で見つけだす
- デザインする力は,デザインすることでしか養われない
- 解答を見つけ出す積み重ねがデザインする力になる