MarkdownでメモをとるのにDropbox Paperが気持ちいい
Dropboxの文書共同編集ツールPaperがMarkdownが使えるメモ帳としてとてもいい感じなので、メモ帳に困っている人は使ってみてねという記事です。自分の抱えていた問題と、なぜPaperがいいと判断したのかを紹介します。
オンラインでメモが取れるツールをめっちゃ使っている
スマホとPCでメモを共有したい
スマホ、PCよりもよく使うという人が多いぐらい、生活の一部になっている。簡単なテキストや思いつきはスマホでメモを取れると便利だ。でも、PCがないとできないこともまだ多い。なので、自然とスマホとPCで同じメモを扱いたいという欲求が生まれるし、ここ5年ぐらいは簡単なメモにはEvernoteを使っている。
他人と共同で文章を編集したい
他人と一緒に文章を書くと効率が上がることも多い。友達との旅行計画や、勉強会のレジュメのような他人と共同編集しないといけない文章を作る時にはGoogle Docsを使っている。Google Docsはリンクを共有すれば共同編集できるし、誰が今何を書いているのかというのがひと目で分かって便利だ。リアルタイムで変更が反映されるので、Skypeで話しながら一緒に調べたことをまとめたり議事録を取れば作業が手っ取り早い。
従来の文書共有サービスの問題点:Markdownが使えない
EvernoteもGoogle Docsも(その他メジャーなグループウェアも)Markdownが使えない点が個人的によくなかった。Markdownというのは文章を構造化して書くための記法で、近年GitHubとかQiitaとかをはじめドキュメント作成によく使われている。どんなものか知りたい方は過去の記事を御覧ください。
なんでGoogle DocsとかがMarkdownに対応しないのかというと、たぶんMarkdownを使うユーザの割合が少ないと予想されているからだと思う。Markdownはプログラマはよく使っているけど、プログラマなんかユーザの人口比でほんの少ししかいない。圧倒的多数の使うGUIの(つまり画面上のボタンで文章を修飾する)ツールを改良するほうが全体の利益になるし、結果としてお金になるからこれは仕方ない。でも現実には僕はMarkdownでメモを取っている。理由を3つ挙げると:
- Google Docs(とかWord)でGUIで修飾(太字とか見出しをつけたりとか)していくのはめんどうで遅い
- Markdown:テキストで簡易な記法で修飾するので早い
- Google Docsはテキストで修飾の情報を持っていないので他の形式に変換するのが手間
- 例えば下図のような文章をコピペしたいときには、コピペ先のソフトが書式に対応していないといけない。
- Markdown:方言はあるけどだいたい標準的な規格なので「他のソフト使いたいなー」と思ったときにすぐ移行できる
- プレーンテキストだと修飾がなくて見づらい
- Markdown:テキストそのままでも構造化されていてそれなりに読める
他の選択肢も一応ある。例えばMac/iOS環境ではMarkdownエディタがいくつかでている。ただ、僕が見た範囲ではちょっと機能が足りなかった。例えば、画像がアップロードできないとか。加えて、共同編集ができるものは見たことがなかった。たまに色々なツールをためしていた。
解決策:Paperを使う
PaperはMarkdownでメモがとれるGoogle Docsのようなもの
DropboxのPaperは2016年8月からベータ版として提供されている。Paperを使うと上の問題が解決できる。各サービスごとに、僕が基本的なエディタとして求める機能を比較した。
Paper | Evernote | Google Docs | 備考 | |
---|---|---|---|---|
デバイス間共有 | o | o | o | どれもiOS向けのアプリがある |
共同編集 | o | o | o | |
Markdown | o | x | x | |
記事内の検索 | o | o | o | |
図の挿入 | o | o | o | Evernoteは画像挿入後のテキスト配置が思うようにいかないなど、エディタに悩まされるので文章と画像を合わせて編集する作業はつらい |
表の挿入 | ◎ | o | o | Paperは表の列が増えても入力幅が一定より短くならない |
比較表、恣意的に作ることができるので注意深く見る必要がある。人によって重視するポイントが違うことが多いので、実際に使って自分なりに比較することを強くおすすめする。この表は今の議論に必要な要素を並べただけなので、これでサービスの優劣を決めることはぜんぜんできない。
PaperはUIがモダン
機能比較にすると同じ「o」でも、実際の使い勝手はまちまち。例えばそれぞれのサービスで表の列を追加したい場合の手順を比べてみよう。 Evernote/GoogleDocsはの表の列を追加したい場合には、表を右クリックしてメニューをだして列の追加を選択する。 図:Evernoteの場合 図:GoogleDocsの場合
一方、Paperは表にオンマウスで追加アイコンが出てくるのでクリックする。
図:Paperの場合
Paperの方法は、EvernoteやGoogleDocsの方法よりも直感的で、かつこのような作業は頻繁に実行するので作業量が少なくて良い。
こういうUI上の手間の違い、比較しつくすのは難しいけど、Paperは現状ベストだと思う。Mediumを知っている人はそれに近いフィーリングといえばわかるかもしれない。以降でその一部を紹介する。
Paperの気の利いているところ
基本的には冒頭の動画を見ていただければだいたいわかります。
動画で紹介されていない点で気に入った点は次のとおりです。
表のサイズがよく考えられている
Google DocsやWordなどでは、表の列が多くなった時に見づらくなる問題がある。
Paperでは、表のみ画面の横幅ぎりぎりまでつかえるようにして回避している(文章の折り返し位置と表の折り返し位置が違うのがわかる)。
iOSのアプリで見ると表だけ横にスクロールできる。
Syntax hilightingがきく
これは殆どの人は使わないけど、プログラマはかなりよく使う機能。
LaTeX記法が使える
LaTeX記法は、数式を入力する際に便利な記法です。例えば、
とかくと、下のように表示されます。
Paperのいけてないところ
iOS版が不安定
作業してると突然Syncがうまくいかなくなって文章が消えて焦るということが何回かありました(リロードすると戻る)
Wordのような豊富な機能は期待できない
Paperは上で書いたように便利な点もありますが、Google DocsやWordに比較して機能の総量は圧倒的に足りていないです(好きな書体に変えたい?文字サイズをポイントで指定したりマーカーで色を塗ったりしたい?参考文献の管理をしたい?これらのことは全てできません)。でもメモを取るための基本的な機能は持っているので、僕は文章のメモは当面Paperを使おうと思います。みんなも使ってみてね!